【つれづれ漫画語り】葬送のフリーレン

アニメ「葬送のフリーレン」より

流行りに便乗して「葬送のフリーレン」を読む。
葬送のフリーレンは、山田鐘人(原作)、アベツカサ(作画)による日本の漫画であり、週刊少年サンデー(小学館)にて、2020年22・23合併号より連載中だ。
2023年9月よりアニメも放送開始されており、NetflixやAmazon prime videoで見ることができる。
第1話は「金曜ロードショー」で初回2時間SP(30分アニメ4話分)として放送されたりした。

ストーリー

悪の魔王を討伐した集団、いわゆる勇者一行の後日談をテーマにした物語である。主人公は勇者ヒンメル一行のメンバーの一人であるエルフの魔法使いフリーレン。

エルフは非常に長命な種族として知られる。フリーレンはすぐに死に別れる人間のことなど興味を持とうとしなかった。1000年を生きるエルフにとって、10年にわたる人間との魔王討伐の物語もいつものように一瞬で過ぎ去る時間に過ぎなかった。

しかし、50年後に再開した年老いたヒンメルから、共に旅をしたことはかけがえのない素晴らしい時間だったと告げられた。フリーレンはヒンメルとの死別の瞬間まで人との関わりに無関心だったこと、仲間達のことを何も知ろうとしなかったことを後悔した。

ヒンメルの葬儀をきっかけにフリーレンは人を知ろうとする。僧侶ハイターから引き取った少女フェルンと共に趣味の魔法収集のついでに各地に残された仲間達との旅の痕跡をめぐり、彼らが一人生き続けるフリーレンのために有形無形の様々な繋がりを残してくれていたと気付いていく。

本作の魅力

『葬送のフリーレン』は、勇者一行が魔王を倒した後の物語だ。いうなれば、物語の後の物語である。

物語は、勇者ヒンメル、戦士アイゼン、僧侶ハイター、魔法使いフリーレンが魔王討伐を終え王都に戻る場面から始まる。しかし、魔王がいなくなっただけで全てが丸く収まるわけではない、社会はその後も続き、人は生きていかねばならない。
その何とも味わい深い余韻が、全編を通じて感じられるのがこの作品の魅力だ。

本作の主人公は、1000年は軽く生きる長命種のエルフ・フリーレンである。
魔王討伐から50年後、すっかり年老いたヒンメルと再会したフリーレンは、ハイターやアイゼンとも連れ立って流星群を観賞する。まもなくヒンメルは亡くなるが、彼の葬儀でフリーレンは自身がヒンメルについて何も知らず、知ろうともしなかったことに気付いて涙する。
その悲しみに困惑したフリーレンは、人間を知るためと魔法収集のために旅に出る。

さらに20年後、フリーレンはもうひとりの仲間であったハイターを訪ねる。ヒンメルと同じく老い先短い身であったハイターは、魔導書の解読と戦災孤児の少女フェルンを弟子にすることを依頼。その4年後に魔導書の解読を終えたフリーレンと、一人前の魔法使いに成長したフェルンは、ハイターの最期を看取ったあとに諸国をめぐる旅に出る。

フリーレンは1000年以上生きているため、かつて見知った人間はほとんどがこの世にいない。
時折、寂しさの表情が伺えるシーンもある。
かつてフリーレンと魔王討伐の旅を共にした勇者ヒンメルは、各地にいくつもの銅像を建てていた。
ヒンメルが銅像を建てた理由は、表向きには自身のナルシストぶりを発揮するためであったが、本当の理由は、フリーレンが未来でひとりぼっちにならないようにするためであった。
「おとぎ話じゃない、僕たちは確かに実在したんだ…」
例え一緒に居なくても、フリーレンは常に彼等とともにある。

日本語には「一期一会」という言葉がある。
一期一会とは、日本の茶道において重要な概念であり、一度きりの出会いや瞬間を大切にする心構えを表す言葉である。また、この言葉は、人生においても同様の価値観を持つことができる考え方であり、日常生活においても、人との出会いや状況を大切にし、その瞬間を丁寧に過ごすことを示唆している。

葬送のフリーレンを読んで、この言葉のように、人との出会いや関係をもっと大切にすべきだよなと、自分の人生を振り返ったりした。

葬送のフリーレンは、「サンデーうぇぶり」にて、現在1~2巻を無料で読むことができる。

葬送のフリーレン・名言集

最後に、葬送のフリーレンの名言集を紹介したい。
良い漫画は、良い名言が詰め込まれているものである。

「人間の寿命は短いって分かってたのに、なんでもっと知ろうと思わなかったんだろう」
(フリーレン)
「僕はね、終わった後に、くだらなかったって笑い飛ばせるような、楽しい旅がしたいんだ」
(ヒンメル)
「はっはっは、格好良く死ぬのも、難しいものですな」
(ハイター)
「百分の一か、その百分の一が、お前を変えたんだ」
(アイゼン)
「追い詰められ、覚悟を決めふり返ったとき、体が動いたのです。必要なものは、覚悟だけだったのです」
(フェルン)
「シュタルク様はどうしようもない臆病者ですが、村を守りたいという覚悟だけは、きっと本物だと思います」
(フェルン)
「怖がることは悪いことではない。この恐怖が、俺をここまで連れてきたんだ」
(アイゼン)
「だから俺はよ、師匠の代わりにくだらなくて楽しい旅を経験して、土産話をたっぷりと持って帰らないとだめなんだ」
(シュタルク)
「魔族が倒されたのは、もう80年も前になります。人間にとって人を忘れ去るのに十分すぎる時間です。それでもこの日だけは皆、ヒンメル様たちを思い出すのです」
(村人)
「わかるだろうフリーレン。自分の生きてきた軌跡が誰にも覚えられちゃいないってのは、あまりにも酷だ。俺たちは長い人生を歩んで、ここにいるんだぜ」
(クラフト)

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