今日読んだ漫画は、「サンキューピッチ」。
作者は、住吉 九先生である。
【作品の概要】
6月、神奈川県の高校球児の間で、ある噂が囁かれていた。夜な夜な現れては「3球勝負」を挑む謎の男、「野球部狩り」──。
男は驚異的な豪速球を持ち、勝負に負けたことがないという!!
県立横浜霜葩高等学校、野球部キャプテンの小堀は「野球部狩り」が学内にいると推測。小堀は悲願の甲子園出場のため、男を勧誘しようと自ら囮となることを決めた。
そしてその夜、グラウンドに「野球部狩り」が現れる!! だが、男には野球ができない“ある秘密”があって……。
高校3年、最後の大会まで3週間、投げられる球──3球?! 9回ウラから始まる野球譚、試合開始!!
―集英社より
この漫画のどこが面白いかというと、登場キャラの濃さである。
いちおう、舞台は高校の野球部なのだが、「これ野球漫画だっけ?」と忘れてしまうくらい、キャラクターがみんな高校球児っぽくない。良い意味で。
登場キャラを一部だが紹介する。
・桐山不折
本作の主人公。長髪長身。
「勝負」と聞くと居ても立っても居られなくなり、強敵が相手で逆境であるほど興奮する勝負ジャンキー。落ち着くときにはよくロジン(滑り止め)をイケない薬のように吸って落ち着く。
中学時代に硬式野球リトルシニアで活躍するも、右ひじ負傷により引退。主治医には完治は難しいと診断を受け、一日に三球しか全力投球できないイップスに陥っている。その代わりに、全力を出せば鉄製のストラックアウトの的をねじ切る程の豪速球を投げることができる。
一日に三球しか投球できない、ワンポイントリリーフの切り札。
・小堀へいた
キャプテン、セカンド。愛嬌ある童顔眼鏡。
選手としても優秀だが、マネージメントやコミュニケーションの能力が高校生離れしており、練習メニューの考案や他校との折衝と試合組みまでこなしている他、交友関係も非常に広い。
キレると普段の様子からは想像もできない形相となり、一番怒らせてはいけないタイプとして恐れられている。野球素人である阿川監督に代わって実質的に野球部を取り仕切っており、人望もある。
一見すると常識人だが、その本性は目的のためならば計算づくで味方を陥れることも厭わないレベルのサイコパス。
・広瀬洋二
キャッチャー。色黒の長身。
野球部の4番を張る強肩強打の名選手だが、自分の野球人生の限界を理解しており、進学してスポーツ科学の研究者を目指している。
頭脳面も優れており、小堀と共にチームの戦術の中核を担う。
ピッチャーの三馬とは幼馴染のバッテリーで、正ちゃん、洋ちゃんと呼び合う仲。
・三馬正磨
エースピッチャー。童顔オールバック。
速度だけでなく高いコントロールも備えたピッチャーで、多彩な変化球を操る。
幼い容姿に反して短気で非常に気が強く、自分を慕っている1、2年を三馬軍団としてコキ使っている。物事を深く考えない気質で頭脳面はほぼ広瀬に頼り切りだが、エースとしての自負は強い。
調子に乗りやすい一方で逆境に非常に弱く、何かの要因でプレッシャーを感じると幼少期の自分が現れて気分を落ち込ませてしまう悪癖を抱えている。
本作では、今のところ主人公を抑えて一番出番が多い。
・伊能商人
補欠、野球歴2ヶ月。
野球部の中でも随一の変人で、何にか難しい目標を立ててそれを攻略する過程を楽しむことを生きがいとしている。野球部に入ったのも、甲子園を攻略して本を出版したいからに過ぎず、野球そのものへの夢や情熱は皆無。性格はお世辞にも良いとは言えず周囲への愛想も悪いが、一応本人なりに筋は通すタイプ。
・阿川監督
女性監督。巨体、三白眼、泣きぼくろ、赤ら顔など、作者の性癖を詰め込んだかのようなキャラ。(上記画像参照)
普段は古典の先生で、一応野球部の監督ではあるが、極度の酒飲みであり、しょっちゅう酔っ払っているため監督としてほとんど機能していない。
野球のルールをまともに理解しておらず(ヒットとホームランの区別もついていなかった)、勘違いしたり初歩的な疑問を持つ場面が多いが、野球に詳しくない読者に代わって質問する立ち位置のキャラクターでもある。
なお、その体躯に違わぬパワーの持ち主であり、暴走した桐山を抑えることができる数少ない人物だったりする。
・・・というように、こんな濃ゆいキャラクターが出てくる漫画が面白くないハズがないのである。
野球漫画だが、野球を全くやったことのない読者でも楽しめるタイプの野球漫画だ。
そして自分の中での、次にクるマンガ部門第1位である。
そんな「サンキューピッチ」は2025年1月4日に第1巻が発売予定だ。
久々に、紙媒体で読もうと思えた漫画である。
〇試し読み